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デジタルツインとは? 現実世界をデジタルで再現する技術と国内企業の活用事例7選

2025.08.31
  • #DX国内
製造ラインの最適化、都市計画のシミュレーション、建物の保守管理——デジタルツインは、現実世界をデジタル空間に精密に再現し、さまざまな意思決定を支援する技術です。本記事では、国内大手企業や自治体における活用事例を通じて、その可能性を探ります。

デジタルツインとは

デジタルツインとは、現実世界にある情報をIoTなどで収集し、デジタル空間上に双子のようなそっくりの状態で再現する技術です。
現実世界と同じような空間を再現し、そのデータをリアルタイムに収集できるため、デジタル空間上でシミュレーションを行い、現実世界で起こる将来的な変化の予測やオペレーション改善などに役立てられています。

参照:
・「デジタルツインとは?製造業や都市などでの活用事例8選」NECソリューションイノベータ(現在閲覧不可)

参照

デジタルツインの活用事例7選

次に、デジタルツインの国内企業や自治体における活用事例7選を解説します。

ダイキン工業

ダイキン工業では、淀川製作所のプラント定期修理において、株式会社エム・ソフトが提供するDXソリューションの一環としてデジタルツインを導入しました。

ダイキンでは、化学プラントの安全性を実現するための定期修理に多くの工数をかけていました。
中でもプラントの構造が複雑であることから、現場に不慣れな作業員や工事会社は対象設備の特定や確認に多くの手間をかけており、課題となっていたようです。

そこで、プラントの点群データによるデジタルツインの作成を行い、点群データ上に各設備の位置を併せて登録しました。これによって、設備情報をデジタルツインで確認できるようにしています。
併せてプラント内にARマーカーを設置し、iPadのカメラと専用アプリで対象設備の位置をARで可視化しました。
デジタルツイン上で設備の位置や詳細情報を確認できるようになったため、現場での確認回数の削減につながりました。

また、iPadのAR機能によって設備にカメラを向けると作業手順が表示されるようになったため、現場に不慣れな作業員の作業時間短縮にもつながっています。

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トヨタ自動車

トヨタ自動車は、工場の製造ラインをデジタルツインにするためにSCSKの支援を受け、「NVIDIA Omniverse」を導入しました。
ロボットの動作や、製品の物理的な動きまで再現して、製造現場の労働環境改善やエンジニアリングチェーン全体の変革につなげることを目標に導入を行っています。

これまでもCADを使って生産ラインや工場全体を3Dモデル化し、シミュレーションを行うことはしていましたが、ロボットにティーチングを行うとなると形状の再現だけでは足りません。
ティーチングとは、ロボットの微妙な個体差を加味した調整のことです。
ティーチングのシミュレーションには、慣性までを考慮したロボットの動きや製品の重さ、摩擦などが正確に再現できる環境が必要です。

そこで注目されたのがデジタルツインでした。
デジタルツインは、再現性も高く、慣性や摩擦といった物理現象もシミュレーションできるため、従業員の没入感も高いです。

これによって、ロボットに短時間でティーチングを行えるようになり、工場内の滞在時間を減らせたため、労働環境の改善につながっています。
また、Web会議においても、決定された変更点を反映させるには、これまでは一度持ち帰ってCADを修正し、再度ビューワーツールを使って確認する必要がありました。

デジタルツインでは、Web会議中に変更点を反映させることが可能です。

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鹿島建設

鹿島建設は大阪市のオービック御堂筋ビル新築工事において、建物データの連携を可能にするデジタルツインを実現しました。
鹿島建設では企画・設計から竣工後の維持管理、運営までの建物情報を一貫してデジタル化するために、BIM(Building Information Modeling)によるデジタルツインを推進しています。

企画段階ではビル風や気流のシミュレーションを実施。
施工段階ではデジタル化による工事進捗の管理や、仮想空間と現実空間を復号させるMR(Mixed Reality)によるモジュールモデルと、実際の施工状況の確認を行いました。

維持管理フェーズにおいては、日常点検や中央監視設備から得られた情報をビッグデータ化し、企画・開発部門へのフィードバックに取り組みました。
今後も、各フェーズの業務効率化と高品質・高価値な建物の提供を行うために、BIMによるデジタルツインを全国の建築プロジェクトに展開するようです。

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AGC

AGCでは、プラントにおける運転データをリアルタイムに取り込み、即時に高速計算を行うことで、仮想空間上にプラントの現在の状態を忠実に再現するプロセスデジタルツインを開発しました。

今回開発したプロセスデジタルツインでは、化学反応の最小ステップである素反応や副生成物の挙動、汚れなどの影響による装置への経時的な変化も再現しています。
これによって、プラントの状態を「見える化」するところから一歩進み、現状解析(「わかる化」)の上、高度なオペレーションを実現する(「変える化」)するところまでを目指しています。


・「ガラス溶解プロセスにおけるデジタルツイン技術を開発しフロート窯での運用検証を開始」AGC

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日立製作所

日立製作所の大みか事業所では、製造ラインのデジタルツイン化によって、納期短縮を実現しました。
同事業所では、工場で進捗管理などを行う「情報制御システム」に用いられるソフトウェアとハードウェアを設計・開発・製造しています。

デジタルツインの構築に向けて約8万枚のRFIDタグと、約450台のリーダー、ビデオカメラを導入し、製造ラインの人やモノの流れを自動収集できるようにしました。
RFID(Radio Frequency Identification)とは、電波を用いてICタグの情報を非接触で読み書きする自動認識技術です。
デジタルツインを活用して、生産の進捗管理や品質改善、設備不良の自動検出などを行っています。

その結果、同工場における代表製品のリードタイムを50%短縮することに成功しました。

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富士通

富士通では、社会への施策を現実世界に適用する前に、デジタルツイン上で人や社会の振る舞いをシミュレーションするために用いる「デジタルリハーサル」を行うことを提唱しています。
また、「デジタルリハーサル」のために用いるデジタルツインを、ソーシャルデジタルツインと名付けています。

ソーシャルデジタルツインでは、社会施策の事前検証が可能です。
そのため、ステークホルダーが多く、合意形成に時間がかかる場合などに、施策を実行すると、どのような事象が起きるかを事前に確認し、失敗する可能性がどのくらいあるかを見極めるのに役立てられます。
失敗したときに増加するコストや時間的損失といったリスクを最小限に抑えるにはどうすればよいかを考えるのにも寄与します。

これを踏まえて富士通は、ソーシャルデジタルツインの「Fujitsu Social Digital Twin Platform」を公開しました。
都市のCO2排出削減と移動の利便性向上を両立させるためのシェアモビリティ最適化や、災害レジリエンスと復旧戦略などを考えるためのツールとして用いられています。

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静岡県

静岡県では、3次元点群データを用いて作成した「VIRTUAL SHIZUOKA」というデジタルツインを公開しました。
現実空間では多くの時間やコストが必要な街づくりを、事前に仮想空間上でシミュレーションすることで、よりよい行政運営などに役立てられると期待されています。

インフラの維持管理や防災管理といった街づくりだけでなく、観光や自動運転など社会全体での活用が望まれています。

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デジタルツインでできること

デジタルツインは、品質向上やコスト削減などの業務改善や異常事態発生時の体制整備といったリスク管理に活用可能です。
データ化しにくい現場の業務を事業所ごとにデジタル化することで、人や設備の動き、モノの流れが可視化できるため、業務改善のポイントを分析する際に役立てられます。

また、デジタル空間上に様々な事象を発生させることで、施策の検討や災害発生時における対応をシミュレーションできるようになります。
これによって、現実世界で実際に施策を遂行したり、災害が発生したりした場合を見据えた体制を整えることが可能です。

参照:
・「デジタルツインとは?製造業や都市などでの活用事例8選」NECソリューションイノベータ(現在閲覧不可)

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まとめ

今回はデジタルツインの国内大手企業や自治体における活用事例を紹介し、デジタルツインで何ができるようになるのかを解説しました。
デジタルツインは現実空間と瓜二つの環境をデジタル空間上に再現することで、オペレーションの改善や業務効率化などに向けたヒントを得るために用いられます。