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スマート林業とは? AIを活用した持続可能な森林経営の事例8選を紹介!

2026.01.07
  • #DX国内
本記事では、スマート林業でどのようなことが実現できるのか、自治体や企業の取り組み事例8選を紹介します。 林業にAIなどのICT技術を活用することで、人手不足や高齢化に悩まされる林業の課題がどのように解決されるのかを知りたい方は参考にしてみてください。

スマート林業とは

スマート林業とは、AIやドローン、IoT、衛星データなどの技術を用いて森林の管理や木材生産の省力化・効率化を図ることで、無駄や危険を減らす新しい林業の形です。

日本の人口減少や林業従事者の高齢化によって、担い手が減少しており、限られた人員で多くの森林を管理しなければならない状況から、スマート林業の必要性が高まっています。

また、適切な森林管理は木材生産だけでなく、土砂災害リスクの抑制や国土保全などの観点からも必要なため、自治体による効率的な森林管理においてもスマート林業は重要なものとなっています。

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スマート林業のAI活用事例

次にスマート林業を進めるにあたってAIを活用している自治体や企業の事例を8つ紹介します。

実際の現場において、スマート林業がどのように行われ、AIがその中でどう活用されているのか詳しく知りたい方は参考にしてみてください。

  • 高知県
  • 鳥取県
  • 徳島県
  • 栃木県
  • 伊那市東春近財産区
  • 王子ホールディングス
  • ソフトバンク株式会社
  • NTT西日本グループ

それぞれ順番に見ていきましょう。

高知県

高知県では、地形条件が悪い現場で樹木を育てたり、重い木材を伐採・搬出したりすることが難しい上に、林業従事者の減少で労働力不足が顕著になっていました。そこで1人あたりの生産性を向上させる必要があり、スマート林業への転換を実施。

航空レーザー計測によって森林資源量や地形情報を精緻化し、そのデータを用いて林業の集約化・効率化を行うとともに森林境界推測図を作成し、境界の明確化にも役立てています。

さらに同県では、木材検収作業にかかる時間を大幅に短縮できるAI搭載の木材検収システムについても導入を検討しています。

このシステムでは、木材を撮影するとAIが木口を認識し、径級サイズを割り当て、本数や材積を帳票に出力することが可能です。

他にも、担い手不足の解消に向けて、林業従事者がドローンや測量機器、タブレットシステムなどを導入する際の費用に対する補助金制度の創設と、これらを扱える人材育成のための研修も実施しています。

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鳥取県

鳥取県では、2021年度からの10年間を「とっとり森林・林業振興ビジョン」の実施期間として木材利用・生産の促進と、環境保全の両立を目指した森林づくりに取り組んでいます。

同県では、県土の約74%を森林が占め、そのうち55%が人工林です。

この人工林の多くが主伐可能な時期を迎えており、木材として利用するために伐採して新たに植え直すことが必要です。

また、国産木材の需要増加や担い手不足を受け、効率化と持続可能な森林経営を確立するための施策の一つとしてスマート林業を実施。

鳥取県のスマート林業では、航空レーザーやドローンの活用による地形や森林の状態をデータ化し、そのデータを用いてどこから伐採するか、森林内の作業道をどこに敷くかなどの検討材料としています。

この作業の効率化にAIを導入して、伐採や作業道の敷設作業を加速させています。

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徳島県

徳島県では、県産材の生産・消費量と新規林業就業者数の目標値を定め、これを達成するためにスマート林業プロジェクトを実施しています。

ドローンによる森林撮影やGPS、航空レーザーによる計測などを利用して3D森林図を作成し、間伐・皆伐・植栽を行うエリアをそれぞれ色分けして図上に表現。

これを基に現場での生産性を高めるために、作業道の路網計画策定にも役立てており、林業機械の大型化にも対応できるように計画しています。

さらに木材の流通コストを低減するために、商流の川上から川下までの需給情報をAIによって予測する流通システムを構築しました。

供給体制や流通、在庫管理などの各商流でのロスを抑えることで、コスト低減に取り組んでいます。

他にも、県主催で現場職員向けにドローン安全操作研修を実施し、林野庁も共同でスマート林業の推進に必要なドローンの操作について人材育成も行っています。

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栃木県

栃木県では、木材の利用期に入った森林が増えてきているものの、森林整備を担う労働力不足や他の産業と比較して労働災害発生率が高いことが課題となっていました。

そこで生産性向上や林業のイメージ改善による次世代の就業者確保を目標に、スマート林業に関する取り組みに着手しました。

森林情報をデータ化し、効率的に作業道を整備したり、施業計画の策定を行ったりしています。

また、同県では林業従事者がスマート林業に取り組めるよう、AIなどのIT技術の活用について出先機関などで相談を受け付けています。

令和6年には林業大学校を開校し、就業前長期過程では、高校や中学校を卒業した者を対象に、スマート林業や林業に携わる上で必要な知識などを1年間かけて指導することも始めました。

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伊那市東春近財産区

伊那市東春近財産区が所有する440haの森林について、経営の効率化と人手不足に対応するために信州大学と共同でスマート林業の導入に踏み切りました。

森林全域をドローンで計測し、そのデータをAIが読み込み、1本ごとに分析を行うことで樹木の種類や高さ、材積などをデータ化します。

全国で初めて単木単位で森林を管理する「スマート照査法」を実践しました。

また、ドローンによる巡回を実施し、森林管理の省力化と木材生産域・環境保全域の効率的なゾーニングも実施しています。

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王子ホールディングス

製紙業大手の王子ホールディングスでは、ヤマハなどと共同で王子グループが所有する岐阜県内の社有林においてリモートセンシング技術を活用したスマート林業に取り組んでいます。

この取り組みは、ヤマハの産業用無人ヘリコプターで広域レーザーによる地形などの計測を行い、取得した情報を信州大学発のベンチャー企業が解析する流れです。

このデータを基に、森林全域をAIによって単木単位の詳細な情報取得と分析を実施しています。

既に樹木の種類や高さ、位置情報などを一括で取得することに成功しており、森林整備や資源管理の精度向上に役立てられることが期待されています。

この取り組みが実用化できれば、森林調査における大幅な省力化が可能です。

人間が森林に立ち入る時間を短くできるため、野生動物との遭遇による事故などのリスクも軽減できる可能性があります。

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ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社と北海道上川郡下川町は、森林管理のデジタル化による造林の効率化を目指して共同研究協定を締結しました。

下川町では林業の人手不足や高齢化が深刻化しており、持続可能な地域社会を達成するための取り組みとして、循環型森林経営に着手しました。

その実証実験として、ソフトバンクのドローンと高精度測位サービスの「ichimill(イチミル)」を導入。

「ichimill」では、上空から森林を撮影し、その画像データを用いて障害物を避けつつ、適切な感覚で植栽可能な位置を人間にナビゲートすることができます。

これによって植栽作業の効率化と、勘や経験に頼らない造林が実現可能です。将来的には植林の自動化や省人化、さらなるAI活用・デジタル化が期待されています。

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NTT西日本グループ

NTT西日本グループでは、日本の森林資源を2050年のカーボンニュートラル達成に欠かせない存在と捉え、森林の維持・発展に向けた健全なライフサイクルの実現に向けた取り組みを行っています。

担い手不足や放置林などの問題解決のために3段階で森林・林業DXを進めています。

最初に地域の森林状況に応じて経営課題のヒアリングや経営計画策定といったビジョンの設定を実施。

次に、衛星画像や航空レーザー、ドローンなどを活用して森林資源情報をデータ化し、デジタル化の推進を行います。

この際、AIによるデータ解析を行うことによって、従来は目視で確認していた木の種類や本数、高さなどを自動でデータ化可能です。

そして、森林資源の有効活用によるカーボンオフセットで創出されたJ-クレジットを地域の外に流通させることで、地域内の脱炭素化と地域の新たな収入源確立を目指しています。

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まとめ

今回はスマート林業で林業がどのように変わるのか、AIの活用でどんな課題が解決しているのか、活用事例8選を通して見ていきました。

高齢化による労働力不足が深刻化する林業において、イメージアップや生産性向上にAIなどのIT技術によるスマート林業推進が欠かせません。