CXO支援とAI/DXの現在地
STCの事業紹介と展望 代表取締役
三浦大地
People
執行役員
戸沼 光太郎
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なぜ海外展開の第一歩としてアジア・シンガポールを選んだのでしょう。
戸沼
グローバルにおけるコンサルティング市場の規模は、アメリカが約21兆円、ヨーロッパが約12兆円と非常に大きく、アジア市場も約10兆円規模に達しています。STCとしては、日本企業との接点が多く、商習慣やビジネス環境への理解を活かしやすいアジアを最初の進出先として選択しました。まずはアジアで着実に事業基盤を構築し、その実績を足がかりに、適切なタイミングで欧米市場への展開も進めていく考えです。
アジアの中でもシンガポールには、いわゆるリージョナルヘッドクォーターが非常に多く集積しています。加えて、同国は金融、医療、教育が経済の中心であり、STCが強みを持つ金融領域との親和性も高い。コンプライアンス意識も成熟しており、公明正大なビジネスができる環境でした。また、シンガポールに拠点を置くことで、タイやマレーシア、ベトナムなど東南アジア全体を見渡しながら事業展開もしやすい。そうした点を含め、最初の海外拠点として適していると判断しました。
STCにとって、この海外進出は、どのような戦略的意味を持ちますか。
戸沼
STCにとって、単なる海外進出ではなく、“日本発のコンサルティング”が海外市場でどこまで通用するのかを試す挑戦だと考えています。コンサルティング市場全体で見ると、グローバルでは約54兆円規模の市場がある。その中で、まずはアジア市場へ挑戦していく。その第一歩としてシンガポールを位置付けています。我々は、単にグローバル市場の案件を取りに行くというより、日本で培ってきた“戦略と実行を分断しない”コンサルティングのあり方そのものを、アジア市場へ広げていきたいと考えています。シンガポール拠点はそのための起点です。
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シンガポール法人では、採用活動が活発化していますね。
戸沼
2025年11月に法人登記が完了しており、日本と現地での採用活動を同時に進めています。シンガポールで「これから立ち上げます」という会社はあっても、本当にゼロから立ち上げフェーズに入っている日系コンサルファームは多くありません。一方で大手コンサルファームの場合は、現地赴任の枠がすでに埋まっていて、実際に行けるのは2〜3年後というケースも多いと聞きます。STCの場合は、まさに立ち上げ段階なので、日本で採用された人は遅くとも半年以内に赴任する可能性が高いです。また、日本採用の場合でも駐在ではなく、ビザをとって現地に行ってもらい、現地採用へ切り替えとなります。いずれにしても、海外で事業立ち上げなどを経験したい人にとっては好機であると考えます。
STCらしい組織の特徴は、どのような点ですか。
戸沼
一般的に、海外拠点には“拠点長”がいて、その人が日本本社と調整し、メンバーへ指示を出していくといった構造です。しかし、STCはそもそも拠点長を置いていません。「全員が責任者」という考え方だからです。STCは、“組織につくのではなく、人につく”会社です。例えば、「誰が拠点長なのか」「誰が上司なのか」といった形式的な役職以上に、「誰がその事業を本気で背負い、最後までやり切る覚悟を持っているのか」を重視しています。STCでは、そうした人を“魂の責任者”と呼んでいます。
例えば、採用一つを取っても、市場相場に基づく一律処遇ではなく、その人が「どれだけの価値を生み出せるのか」、「どれだけ事業を前に進められるのか」で考える感覚が強い。粗利構造や事業採算性まで含め、事業そのものを自分ごととして捉えられるかどうかを重視します。ですから、意思決定もトップダウンではありません。シニアもジュニアも関係なく、自分で考え、自分で動く。誰かの承認を待つのではなく、自律的に動きながら事業を前へ進めていく。それがSTCの組織の特徴だと思います。
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シンガポール法人を立ち上げてみて、想定とのギャップはありましたか。
戸沼
正直、想像を超える大変さでした。法人登記は終わっていますが、それ以外は本当に何も決まっていなかったのです。承認権限もなければ、規定集もない。社労士や弁護士も自分で探さなければいけない。採用基準や給与水準も、マーケットを調べながら自分たちで決める必要がある。当然、お客さまはイチからの開拓なので、営業戦略も自分たちで考えなければいけません。立ち上げ当初は常に頭が動いていて、就寝しても不安で夜中に起きてしまうような状態でした。
かなり“0→1”の色が強いですね。
戸沼
保険や住居、通勤方法まで含めて、すべて自分で決めて進める必要があります。誰かが“地ならし”してくれるわけではありませんから。ただ、それを「大変だ」と感じるのではなく、「面白い」と思える人でなければこの仕事は難しい。海外事業の立ち上げでは特に、自律的に動けることが大前提になります。
この海外での事業展開について、よく「どんな戦略ですか」と質問をいただきますが、正直、完成された戦略が最初から存在するわけではありません。実行を通じて仮説を更新していくしかありません。顧客接点を通じて市場ニーズを探索し、その場で考えて対応する。その連続です。
STCでは、「何年何月までにこれをやる」と細かく決め込むよりも、「最速でやる(完璧な計画を待つのではなく、実行速度を重視する)」という考え方を軸にしています。もちろん、大きな方向性は決めますが、その実現までのプロセスは、実際に動きながら変わっていくものです。ですから“戦略だけ考えたい人”は向いていません。事業を実際に動かしたい人でなければ、この仕事を担うことは難しいでしょう。
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どのような人材と一緒に挑戦したいと考えていますか。
戸沼
今、必要なのは「私の相談相手になってくれる人」です。営業だけ強い、財務だけ強い、法務だけ強い、ではなく、あらゆることに興味を持てる人です。例えば、地政学や規制・政策なども自ら調べ、考え、決断していかねばならない。だからこそ、領域を限定せず、何にでも学習意欲を持てることが必要です。
プロのコンサルタントならば、「未経験の業界であっても、業界の全体像は、3日あれば理解できる」と思いますし、それくらいのスピード感でキャッチアップできる人でなければ、この仕事に就くことは難しいと考えます。単にコンサルティングスキルが高いかどうかではなく、自律的に学び、動きながら事業を背負う感覚を持てる人とともに、この事業に挑戦したいと思います。
今後は、さらに東南アジアへ広げていく構想もあるのでしょうか。
戸沼
シンガポールは、あくまでSTCにとって海外進出の第一歩です。将来的には、タイやマレーシア、フィリピン、ベトナムなどにも展開していきたいと考えています。ただ、無理に拡大したいわけではありません。我々は、お客さまの「役に立つ」と本気で思い、この事業を進めています。現在、シンガポールのコンサル市場は約1兆7000億円と言われています。STCの考え方は、そのうちの「シェア10%を取りに行く」のではなく、「10%のお客さまの役に立ちにいく」ということ。“10%”は仮の数値ですが、「最低でも“10%程度”の人の役に立たなければ、その実感は得られないだろう」という思いもあります。その積み重ねをアジア全体へ広げていきたいと思っています。
だからこそ、肩書きではなく、「自分がこの事業を背負う」という気概が持てる人と協働したい。STCの合言葉でもある“魂の責任者”になれるような人と、アジア市場へ意欲的に挑んでいきたいと考えます。